研究科長挨拶

 筑波大学大学院ビジネス科学研究科は、ビジネスの分野における高度専門職業人の養成・再教育に関する社会的要請に応えるため、社会人を主たる対象として、企業や社会が直面する新たな類型の問題について総合的かつ高度な判断能力をもち、適切な解決策を提示できる高度専門職業人や法曹を養成することを目的としております。

 このように、本研究科は、社会人が働きながら修士・博士および専門職の学位を取得できる教育機関として設置され、平日の夜間及び土曜日を基本とした開講時間帯の中に科目を合理的に配置するなど、効率的で実効的な教育課程を編成しています。

 少し歴史を紐解きますと、ビジネス科学研究科は、我が国初の社会人のための夜間大学院として1989年に設立されました。当初は企業の経営課題の解決に必要な能力を育成する経営システム科学専攻(修士課程)からスタートしましたが、90年に企業の法律問題に対応できる専門職業人を育成する企業法学専攻(修士課程)、96年には企業の経営と法律の問題をさらに専門的に研究する企業科学専攻(博士課程)が設けられました。また、2005年には、新たな社会のニーズに対応する専門職大学院として、MBA教育を英語で行う国際経営プロフェッショナル専攻および法曹養成を目的とする法曹専攻が設立されました。

 さて、私たち高等教育機関は21世紀が直面する新たな課題に取り組むことを求められています。こうした課題に立ち向かおうとするとき求められるのが国際性と学際性です。筑波大学は、2014年、文科省のスーパーグローバル大学創成支援事業において「トップ型」13校に選ばれ、また昨年度の中間評価において「トップ型」の中で名古屋大学と共に最高のS評価を受けました。

 現代はひとつの原理や価値に従えばすべてが解決するといった単純な構図ではなく、多元的で多様な価値や考え方のせめぎ合う複雑な問題を解きほぐすことが求められております。社会で活躍されている皆さんは既に専門分野を有していると思います。そうした皆さんが、経営学領域や法学領域において、先端の理論や高度な思考を修得すると共に、ビジネスの場で得た知識や経験を体系化して、現代社会におけるさまざまな課題を再構築できるようにサポートすることが、本研究科のミッションだと考えております。

 かく言う私も、1998年にこの博士課程の門をくぐりました。私の場合は国際取引や企業法務を扱う弁護士として実務に携わりアメリカ留学中に抱いたテーマをどうしても深掘りしたいと思ったからです。幸いにも2001年に博士(法学)の学位を得ることができましたが、博士論文を書き上げる過程は苦難の連続でした。

 Winston Churchill曰く、

 Kites rise highest against the wind – not with it. (凧が一番高く上がるのは、向かい風の時であり追い風の時ではない。)

 今にして思えば、自分の思考力や論理力を最大限に伸ばすことができたのが、苦しみもがいた当時でした。

 研究または実務の一辺倒ではなく、実務を熟知しこれを理論的に制御できる研究者の養成と、学問理論に裏打ちされた実務の担い手の養成は、まさに本研究科の強みです。

 筑波大学のスローガンは”Imagine the Future”です。

 このimaginationには問題解決能力という意味もあります。皆様が、ご自身のテーマをもってビジネス科学研究科に入られ、ご自身のimaginationへ挑戦をして頂くことを心からお待ちしております。

 

 

筑波大学大学院ビジネス科学研究科長

大塚 章男

rcus 筑波大学大学院ビジネスサイエンス系 筑波大学東京キャンパス